声明 110329


(声明)日本航空の更生手続き終了に際して

2011年3月29日

航空労組連絡会


 3月28日、日本航空は、日本政策投資銀行などから約2,800億円の新規融資を受け、更生債権を全額返済し、東京地裁は同社の会社更生手続きの終了を決定しました。そして、日本航空の今期の連結営業利益は、更生計画で打ち出した利益目標の3倍に迫る約1,700億円と、過去最高を記録する見通しとも言われています。


 これにより、日本航空は地裁の管理を離れ、1年2カ月ぶりにいわゆる「普通の株式会社」に復帰し、企業再生支援機構の下で、引き続き再建を進めることになりますが、今日の日本航空の実態は決して手放しで評価できる状況にはありません。

 日本航空は、会社更生法の下で、儲け優先の短期再生を目指し、国民には安全と公共性の後退を、そしてグループ企業で働く多くの労働者には、不法・不当な整理解雇や労働条件の大幅切り下げなど、多大な犠牲を強いる再建計画を推し進めてきました。

 その結果、国民・利用者には、路線の休廃止に加え、事業規模を縮小し高利用率で利益を上げる施策により、乗りたくても乗れないと言う不便さを強いる等、利益を追求するが故に公共性の後退を押し付けてきたのです。こうした行きすぎた事業規模縮小の結果、東日本大震災と言う未曽有の事態に際し、臨時便の増発能力を低下させ、更生計画で打ち出したA300型機の退役期日の延期や、臨時便対応のための計画減便等で対応せざるを得ない状況を生みだしています。

 また、労働者には、事業規模縮小に対応した人員削減では、希望退職という名の退職強要、これに反対する労組への支配介入などの不法行為を繰り返し、昨年の大みそかには、人員削減目標を達成しているにも関わらず整理解雇という暴挙をも強行しました。その結果、安全運航を中核となって支えてきた多くのベテラン社員が職場を去り、長時間過密労働が各職場で強いられることとなりました。また、「安全」を削除し利益優先を打ち出した企業理念の設定、それを職場に浸透させるための意識改革の推進、そして成果主義による評価を強めた新人事制度の導入など、「新生JAL」に向けた「改革」も進めています。こうした利益優先の経営と力で労働者を支配する不当な労務政策が何をもたらすかは、お客様の尊い命を犠牲にした連続事故という形で、日本航空自身が身をもって体験してきたことであり、決して繰り返してはならない重大な過ちです。

 更生手続きの終了により日本航空は、経営の自由度が高い株式会社の立場で再建に取り組むことが可能となります。更生手続き終了に際して私たちは、日本航空に対して、歴史の教訓を真摯に受け止め、儲け優先から安全と公共性重視した再建計画に見直すこと、そして、全社員が一丸となり、公共交通機関として国民の期待にこたえる再建が果たせるよう、不当な整理解雇を直ちに撤回するとともに、正常な労使関係の確立に踏み出すことを強く求めるものです。


 同時に私たちは、政府に対して、日本航空の破綻の要因ともなった日本の歪んだ航空政策の見直しを改めて求めるものです。

 安全と公共性の後退をもたらしている航空の自由化政策の見直し、不採算路線の維持方策の具体化、そして、空港整備財源のためとして高い航空運賃の要因ともなっている着陸料や燃料税等の公租公課の見直しなど、破綻の要因となった政策の見直しは、政府の責任において遂行しなければならない課題です。


 今、東日本大震災と言う激震災害に対し、国を挙げて救援・復興活動が進められています。こうした事態の中で、公共交通機関である航空会社が果たすべき役割は極めて重大です。

 私たちは、全ての航空会社に公共交通機関としての役割を存分に発揮するよう求めるとともに、この産業に従事する労働者として、社会的使命を果たすべく全力を上げて取り組みます。

 また、日本航空の再建については、安全と公共性を維持・強化し、国民が期待する再建が果たせるよう、不当解雇の撤回と利益優先の再建策の見直し、そして歪んだ航空政策の見直しを求め、全力を上げて取り組みを進めます。

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