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■主な記事から■

▼4回目の冬を迎えた冬期手当支給を求めた闘い。JGS札幌労組が要請と緊急集会
▼客室乗務員の子ども・子育て支援策の拡充急務
▼JAL解雇撤回闘争−「翼に憲法を!文化のつどい」に 700人参加
▼日東整解雇撤回裁判、2月16日に第1回口頭弁論
▼札幌で航空安全シンポジウム開催

労働者の実質賃金が17カ月連続低下し、国民の多くが景気回復を実感できないなか15春闘が始まります。

 安倍内閣は政労使会議を開催し、「経済界は賃金引き上げに向けた最大限の努力を図る」とした合意文書をまとめました。安倍首相が2年連続で財界に賃上げを要請するのは異例なことです。マスコミも「賃金引き上げは社会的な責務」と主張しています。日本経済の回復のカギは賃金引き上げにかかっている、が共通認識になっています。
 このようななか、連合は「2%以上のベア」(定昇含め4%以上)、全労連は月額2万円以上(5%強)と昨年以上の要求を掲げています。「溜め込みすぎた大企業の内部留保を賃金・労働条件の改善に活用することが日本経済発展のカギ」との認識が社会的に共有化されています。労働総研の調査では、日本企業の内部留保は13年度末には、GDPを27・8兆円も上回る509・2兆円に達しました。
 時事通信が1月に行った世論調査によると、アベノミクスによる景気回復について「実感がない」が84・9%を占めたのに対し、「実感がある」は10・2%にとどまりました。「実質賃金が上昇していないことが影響している」と分析しています。

 航空では、JAL・ANAの中間決算は好調なものでした。営業収入は、全日空は過去最高となる前年同期比9・1%増加8548億円。日本航空も前年同期比3・7%増の6837億円となり、4期連続で中間期に通期営業利益を上方修正しました。原油低下も加わり、両社ともに大幅利益が予想されています。日航ユニオンによると、JAL・ANAの内部留保(利益剰余金+退職給付債務)は2014年中間決算時点で、ANAは前年から603億円増の3494億円、JALは1451億年増の5466億円。JALは破たん前に賃金5%カットし、2011年1月の新人事賃金制度導入によって人件費を100億円削減しました。5%カットや賃金制度を元に戻し大幅賃上げしても十分余裕があります。JAL・ANAでは20年間ベースアップがありません。ベースアップをしっかり要求しましょう。

 一方職場はサービス残業や過密・長時間労働、低い年休取得率などの実態に置かれています。近年の非正規社員の増大がさらなる労働条件の悪化を招いており、改善を目指すたたかいは、とりわけ重要になっています。
 日航キャビンクルーユニオン(CCU)は、客室乗務員の勤務改善を求めています。一度提示された勤務がころころ変わるのは変形労働時間制に抵触しているとして労働基準署に申告しています。申告を受け、大田労基署は日本航空に調査に入りました。労基署の対応が注目されます。政府は2015年4月から少子化対策・子育て支援を強化します。航空では、遅れている客室乗務員に対する子育て支援策をどれだけ拡充させられるか注目されます。

 グランドハンドリング現場では、最低賃金(時給)並みの賃金や定められた休憩時間が取れない勤務、後を絶たない離職問題の改善も急務です。強行廃止から4度目の冬を迎えているJGS札幌の冬期手当の闘いも正念場を迎えています。
 整備現場では、航空機の稼動を上げるため、整備作業を昼間帯から夜間帯に移行しています。勤務もより夜間偏重なっており、健康不安を訴える声はさらに大きくなっています。(14春闘日航ユニオンアンケート=改善を求める上位3項目は「労働時間短縮」64%、「仮眠制度」54%、「夜勤回数削減」47%)。
 米国の報道によると、米航空大手3社の2013年12月通期決算は、合併アメリカン航空グループは4%の賃金引き上げを発表しています。1月4日のパイロット組合の声明によると、23%の賃金引き上げで労使が合意したとのことです。

 安倍首相が賃上げ要請しても結局のところ、労働者・労働組合がしっかり要求し闘わなくては改善を勝ち取れません。15春闘は生活改善のみならず、経済の健全な発展をめざすたたかいでもあります。労働組合の社会的責任が問われる春闘と言えます。

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断続的に降り続く雪。除雪車両がフル回転の新千歳空港。気温はマイナス5度。JGS札幌労組の仲間にとっては、2011年の冬期手当強行廃止から4度目の冬です。
 1月20日、冬期手当支給を求めるJGS札幌要請と緊急集会が開催されました。要請と集会にはJGS東京・JGS大阪・JGS九州の仲間も参加。「何としても解決を」との決意を固めました。
 20日午後に行われたJGS札幌への要請では、4労組代表は冬期手当の早期支給を求めました。JGS札幌(労務担当役員)の対応は、「社員が喜ぶものを考えている」に止まりました。
 要請後の緊急集会で杉森JGS札幌委員長は、「今年に入って3回の大雪に見舞われた。灯油代は下がっているが、円安で電気代は値上げされた。毎月の支出がかさんでいる。労働者のモチベーションは低下している。廃止から4年目の冬が進みつつあるなかでの取り組みになっているが、仲間の支援と協力、団結をさらに強め、運動を前へ進め支給を勝ち取りたい」と決意を述べました。

 緒方GHU(グランドハンドリング労組連合会)代表は、「冬期手当を勝ち取るため、組合員一人一人が声を出した取り組みを強め要求を前進させたい」と連帯の挨拶をしました。
 集会に参加した組合員からは、「円安でホッとしている面もあるが、11月は254リットル使って24000円だった」「業者に定期配送をお願いしているが、先日は39000円の支払いだった」「支出を抑えるためにストーブの設定温度を最低にし、家の中でも防寒着を着ている」などの発言がありました。集会では「冬期手当を勝ち取る決議」を参加者全員で採択しました。
 JGS札幌労組は、2月16日を冬期手当の解決を求める山場として取り組みを強化しています。

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 安倍政権が力を入れている政策に、働く女性を支援する「子ども・子育て支援」があります。航空各社の客室乗務員の支援策をみてみます。

 JALでは、働きながら子育てしている客室乗務員が利用できる深夜就業免除制度があります。利用者は毎月約200名〜220名。客室乗務員全体の約5%です。
 「小学校就学前の始期に達するまでの子を養育する労働者が、その子を養育するために請求したときは、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、深夜(午後10時から翌朝午前5時までの間)に労働させることはできない」との法律が制定された当初、日本航空は「約70名枠の先着順」としました。しかし日航客乗組合(現CCU)の、「法律は深夜業免除を請求した場合は労働させてはならないとなっている」との追求に、日本航空は見直さざるを得ませんでした。
 次に日本航空が打ち出した手法は、深免者すべてに乗務を振り分けるのは無理として、月最低5日は乗務を確保するが乗務できない日は無給とする、というもの。しかしこうした違法・脱法行為も、客乗組合が裁判所や労働委員会に訴えたことで改善され、不十分ながらも現制度になりました。
 CCUの伊東執行委員は、「制度ができたときに深免者に提供されたのは国内線日帰り乗務のみでした。会社は『深免者全員に提供できる乗務が作れない』と言い、無給日が作られました。現在は勤務開始5時以降、勤務終了20時までであれば国際線日帰り勤務にも就けます。『作れない』ではなく『作らない』だったという訳です。深免者には、通常勤務者と変わらない月間70時間乗務する人もいますが、無給日の日数だけ基本給がカットされます。予定されたフライトが欠航になるとその日は無給日になり、基本給はカットされます」と話します。

 全日空では毎年数百名が産休・育休から復帰すると言われています。そのため、勤務制限を設けた勤務制度を利用する人数は限られており、「JALのように育児休業を3歳まで延長してほしい」「現状では親の支援がなければ退職を選択せざるをえない」と切実です。

 「普通勤務者であれば8時間労働のしばりがありますが、客室乗務員は変形労働時間制なので長時間拘束になります。シングルマザーにとっては経済的な問題もあります。普通勤務者とでは利用できる社内制度にも違いがあります。会社は稼働ばかりを追求するのでなく、客室乗務員を大切にする、温かみのある制度改善を進めてほしい」(客乗連事務局)

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 山口パイロット原告団長が報道ラジオ番組「ラジオフォーラム」に出演しました。インタビューテーマは「民間航空の安全とJAL不当解雇」。

 山口団長が経験した米軍機とのニアミス事件など、空の安全より米軍が優先される日米地位協定の現実と航空労働者の取り組みを紹介しました。集団的自衛権行使容認と特定秘密保護法により、空の安全が脅かされる懸念も語りました。
 JALが2010年大晦日にパイロットと客室乗務員165人を解雇した問題にも言及。裁判所が選出した管財人を訴えていることは国を相手にしていることに等しいことや、経営破綻後、コストを優先するあまり、安全を軽視した運航が行われている実態を語りました。最後に、解雇撤回は最高裁で闘っていることを紹介したうえで、安心して働くことのできる社会ができることをこの闘いを通じてめざしていると訴えました。

◇ 昨年12月23日、大田区内において、日本航空から解雇されたパイロットと客室乗務員を音楽で励ます文化の集いが開かれました。不当解雇を撤回させ一日も早い勝利をめざすことを目標に、大田区内の労働組合やうたごえのサークルが中心となって開催したものです。

 会場は700人の参加者で一杯。隣接する公園では署名活動や模擬店が展開されました。 集いは2部構成。第1部はバイオリンによる演奏と、韓国から支援に駆けつけた光山区立合唱団による合唱。第2部では、青年劇場の演出家である福山啓子さんが脚本を手掛けた構成劇が披露されました。青年劇場の俳優さんの応援もあり、「解雇の実態がとってもよく理解できた」「涙が止まらなかった」などの感想が寄せられました。日本航空の不当解雇を撤回する新しい取り組みとして、文化の集いは成功裡に終了しました。

◇1月22日、JALが不当労働行為救済命令の取り消しを求めた第1回控訴審が開かれました。高裁前では、参加人である日本航空乗員組合(JFU)やキャビンクルーユニオン(CCU)の組合員と支援者が集まり、地裁判決に従った判断を求める訴えをしました。

 法廷では、JAL側の代理人からは、不当労働行為を正当化する意見陳述が行われ、管財人の統括だった瀬戸英雄弁護士を承認採用するよう求めてきました。参加人(組合側)代理人の竹村弁護士は、「今回のような恫喝と虚偽で行われた支配介入行為が正当化される余地はない。そうでないと憲法28条の意味がなくなる」などを述べました。

 参加人からはJFU委員長とCCU委員長が意見陳述を行ない、支援機構の管財人代理発言の不当性と、それによって職場が大きく混乱したことを述べました。

 裁判所には1200団体から寄せられた「公正な判決を求める要請署名」が提出されました。次回審理は3月26日、高裁824号法廷。

 提訴から4年目を迎えた1月19日、東京都内で支援共闘会議の第5回総会が開かれ、各団体の代表ら124名が参加しました。総会では闘いを広げ解雇撤回を勝ち取ることを確認しました。

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 日本航空による子会社つぶし、不当解雇と闘う日東整不当解雇撤回裁判で東京地裁は昨年9月、原告の請求を全面棄却するという不当判決を出しました。原告は10月3日に東京高裁に控訴。不当判決の破棄と勝利判決をめざして、多くの支援者とともに、裁判所前や空港・街頭での宣伝と署名に取り組んでいます。裁判所には控訴理由書を提出し、公正な審理を要請しました。
 控訴審では、日本航空が日東整の人員計画や労働条件、整備作業の遂行、役員体制など、事業のあらゆる面で支配従属していたことをさらに立証して行きます。また、日東整(労組)排除を目的にした企業つぶしであることは、日本航空の不当労働行為意思を示す直接証拠(日航の社内文書)で明らかになっています。
 昨年2月の東京地裁での証人尋問で、日本航空の大西会長は、「日東整は高い技術を持った会社」と証言をしました。この証言は、日本航空の安全運航を確立するうえで、日東整を統合した方が経営的にも合理的だったことが裏付けます。しかし日本航空は、当時のJALTAM(現JALエンジニアリング=JALEC)に日東整労組の運動が広がることを恐れ、労働組合対策を優先して日東整を排除し、働く者の雇用を奪いました。

 日本航空が日東整に委託していた事業はJALECに移転しました。事業譲渡にあたり、日東整従業員の雇用をJALECが継続されるべきことは当然のことです。雇用継続を行わなかった日本航空とJALECの経営責任は重大です。
 2月16日の東京高裁での第1回口頭弁論を前に、航空連・日東整争議対策は2月9日に「日東整争議の解決をめざす2・9集会」を開催します。原告と支援者は「多くの方の参加を」と呼びかけています。

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札幌が雪景色に包まれた昨年12月10日、「航空安全シンポジウム2014in札幌」が開催されました。このシンポジウムは例年この時期に開催され、航空の安全を考える機会として師走の恒例行事になりつつあります。

 日乗連AAP鈴木委員長の講演は、2012年12月に庄内空港で発生したオーバーランを題材にしたもの。冬季運航、特に雪氷滑走路に関する基本的知識から、事故調査に関する提言に至る奥行きの深いものでした。
 このオーバーランは航空機が通報を受けたブレーキングアクション(滑走路の滑りやすさ)と実際のコンディションとが大きくかけ離れていたことも原因のひとつと見られています。「グッド」と通報されていたにも関わらず、後日のシミュレータ検証結果では、実際には「ミディアム・トゥー・プァ(5段階の下から2番目)」であったと推測されました。この状態では適切な操作を行ったとしても、滑走路内で停止することはできなかったとのことでした。 

 事故調査報告書では「氷点に近い気温における降雪等により滑走路状態が雪氷状況調査時から変化したことが影響したものと考えられる」としていますが、もしインシデント発生直後にブレーキングアクションが測定されていれば、更なる再発防止に役立ったはずです。再発防止の観点からは、雪氷滑走路に関わる事故等が起きたときには臨時にSIチェックを行う体制が必要ではないかなどの提言もなされました。意見交換では、「SIコンディションでグッドと言っても、乾燥した滑走路の摩擦係数の4割程度しかない。言葉の印象に惑わされてはいけない」との発言がありました。 シンポジウム後の交流会も大いに盛り上がりました。

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