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■主な記事から■

▼2011年を展望して 航空連・近村一也議長

▼東京地裁、倉町さんの労災を認定。「認められて嬉しい」

▼JALの客乗ゲート業務問題で国交省に緊急要請

▼国民支援共闘会議への参加を心から訴えます

▼劣化する安全と労働者、グラハンの現場から


日航は整理解雇を撤回し再建に労使の英知結集を

JAL解雇撤回国民共闘 202名の不当解雇撤回を

 日本航空の整理解雇強行に、全国から抗議の声が上がっています。「整理解雇を撤回せよ」との抗議要請は410団体から寄せられています。 12月21日の日航本社前抗議行動には450名が参加し、整理解雇撤回を求める要請書を大西社長に提出しました。CCUがストライキを構えた24日の大田区産業プラザでの「12.24 はねかえそう!日航の『不当解雇』決起集会」には400名が結集し、「202名の整理解雇を許さず、整理解雇の4要件を守らせ、利用者国民の期待に沿った再建、歪んだ航空政策を改めさせるために全力を挙げて闘う」との集会宣言を採択しました。27日には整理解雇撤回をめざす「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」(3面に呼びかけ人アピール全文掲載。略称、JAL解雇撤回国民共闘)が発足しました。 日本航空は12月9日、客室乗務員108名(休職者34名、53歳以上74名)、運航乗務員94名(休職者4名、機長・副操縦士90名)の計202名を、「12月31日を解雇日として整理解雇に向けた手続きを開始する」と労働組合に通告しました。「希望退職の目標に達してない」を解雇理由にしていますが、12月1日時点での希望退職応募者は1688名。目標の1500名を206名も超過達成しています。整理解雇者を加えれば目標を408名も上回ることになります。航空連は、「極めて横暴で不当な整理解雇といわねばならない。私たち航空労組連絡会(航空連)はこの不当・横暴な整理解雇に、満身の怒りを込めて抗議するとともに、整理解雇の即時撤回を求める」緊急声明を発表しました。

 日本航空は、@整理解雇をしてまで、なぜ目標を408名も上回る人員削減が必要なのか。A4〜9月決算で目標を大幅に上回る1096億円もの利益を上げているなかでなぜ整理解雇なのか。B整理解雇を回避するために労働組合が提起した、募集の対象年齢の引き下げやワークシェアリングなどの提案をなぜ拒否したのか、などについて明確にしないまま整理解雇を強行しようとしています。解雇回避努力を果たさず解雇を強行することは、「整理解雇4要件」を踏みにじる暴挙です。こうした不法が許されることになれば、全国の労働者に計り知れない影響を及ぼすことは必至です。 いま日本航空に必要なことは、整理解雇を回避し、破綻の原因と指摘されてきた経営体質やゆがんだ航空政策を見直し、安全と公共性を中心にした再建策に労使の英知を結集することです。

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JFU緊急脱出訓練労災裁判

東京地裁「腰痛は労災」と認定労災が認められ嬉しい

日航乗組 国は控訴せず判決に従え 
2004年の緊急脱出訓練で腰痛を発症した日本航空乗員組合(JFU)組合員、倉町公爾さんの労災認定裁判で、東京地裁12月24日、原告の主張を認め労災認定の判決を言い渡しました。原告の倉町さんは「労災が認められて嬉しい。多くのみなさんの支援のおかげです」と喜びを語りました。

 この裁判は、緊急脱出訓練のさいに腰部を痛め腰痛症を発祥し、大田労基署に労災を申請したが認められなかったことから、2008年12月に東京地裁に提訴したものです。
 当時日本エアシステム(JAS)のエアバスA300型機の副操縦士だった倉町さんは、2004年10月6日に行われた緊急脱出訓練でのスライド滑降で腰を痛め、さらに水面に浮かぶ不安定なラフト上での脱出援助の負担も加わった事で、帰宅時には足にしびれも発生しました。時間の経過とともに腰の状況は悪化し動くもままならなくなりました。その後二度の大きな手術を受け、現在は治療を継続しながら段階的な職場復帰も具体的に考えられる回復状況となっています。 この間、大田労働基準監督署長への労災の申請は当初全て認められませんでしたが、倉町さんの不服申立に対し、行政側の最後の認定機会(裁判で言えば最高裁)である労働保険審査会は、最初の申請から3年以上経過した2007年4月にようやく療養給付(医療費の給付)について治療開始からわずか1ヵ月の労災による支給を認めました。 

 裁判で国は、「加齢による変性で造影剤が映ったものでヘルニアによるものではない」「緊急脱出訓練はヘルニアを発症させる特有の原因ではない。主治医の診断と手術は誤りである。倉町氏は数週間で回復したものの、心理的・社会的要因により10月末になり急激に症状が悪化した」と、結論づけましたが、判決はこうした主張をしりぞけました。 判決後に記者会見した倉町さんは、「労災が認められて嬉しい。パイロットして復帰できるよう治療と訓練を続けたい」と喜びと意欲をかたりました。

判決後に勝訴を喜ぶ原告の倉町さん

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2011年を展望して

航空連議長 近村一也

 この1年、航空連は日本航空の再建をめぐる問題、とりわけ整理解雇問題に全力で取り組んできました。
 管財人たちは12月9日、「12月31日を解雇日として整理解雇に向けた手続きを開始する」ことを発表しました。しかし、解雇強行に全国から抗議の声があがり、「整理解雇を即事撤回せよ」とのる抗議要請は410団体を超えています。地域や団体による独自の抗議行動も取り組まれています。12月21日の日航本社前抗議行動、24日の「12・24 はねかえそう!日航の『不当解雇』決起集会」には多くの参加をいただきました。27日には「日本航空の整理解雇を撤回する国民共闘支援会議」(JAL解雇撤回国民共闘)が設立されました。幅広い団体の共闘は、当事者・関係労組に大きな勇気と希望を与えています。日本航空の整理解雇問題は国民レベルの共通問題となり、社会問題になりつつあります。

 なぜ管財人らは希望退職の目標を400人以上上回る整理解雇を強行するのか。なぜ「整理解雇4要件」を踏みにじってまで解雇を強行するのか。狙いは明確です。公的・私的な金融支援を受けた企業は、憲法・労働法などの法的拘束にしばられず人員整理ができるという、前例を作ろうとしています。私たち自身のみならず、日本全体の労働者の将来に禍根を残さないためにも、断固として整理解雇を撤回させなければなりません。

 航空経営は、日本航空の破綻や競争激化を最大限に利用し、労働条件改悪を強引に押し進めようとしています。企業再編や人員削減、労働時間延長、賃金カット、正社員から非正規社員への置き換えなどのあらゆるリストラ施策を推し進めようとしています。しかしこうした施策は、航空の安全と労働者の劣化を招くだけで、健全な発展にはつながりません。

 10年以上にわたる日本経済の停滞の打開策について、「デフレも、格差拡大も、消費低迷も、円高も、財政赤字拡大もすべての問題の原因は、賃金が上がらないことにある。健全な日本経済を再び取り戻すために、中期計画として緩やかな賃上げを中心に据える必要がある」(「週刊エコノミスト」10月26日号)との指摘があるように、賃上げは生活を安定させ、日本経済の回復にも有効に働きます。

 2011春闘は、何としても日本航空の整理解雇を撤回させ、賃上げなど労働条件を引き上げるために、気迫を込めた闘いを進めようではありませんか。

ゲート業務

客乗連が国交省に緊急要請旅客の安全を軽視

 日本航空は12月20日以降、客室乗務員1名を旅客搭乗ゲートに配置し、旅客業務をさせています。客乗連絡会は、保安業務の軽視であり安全上問題として、12月21日、国土交通省に客室乗務員のゲート業務中止を要請しました。17日にはCCUと客乗連が東京労働局を訪ね、見解を質しました。 ゲート業務は委託会社が行っているため、客室乗務員が委託会社社員と共同で仕事をするためには、客室乗務員を出向か派遣にしなければなりません。日本航空は「委託会社の社員とは全く業務が切り分けられている」と説明していますが、一方乗員組合との団交では、「客室乗務員が担当する機械の不具合など何かあれば、地上係員がすぐに駆けつける体制」と説明しています。客室乗務員による小型機の機内清掃業務同様、偽装請負の疑いが極めて濃厚な状況となっています。

 東京労働局は、「請負とすれば2社で作業をすることができないことではないが、指示されたり協力し合ったりすることはできない。コミュニケーションの範囲でもダメ。少しでも協力している実態があれば偽装請負になり、両方の会社が法違反とされる」「協力しあって仕事をするためには、客室乗務員は出向か派遣の形態をとらなくてはいけない。本人には出向か派遣かを明示しなくてはならない」「機会が故障したり何かを確認する場合、請負だと直接委託会社社員に聞いてはいけない。双方の会社(責任者)を通して聞かなくてはいけない」「偽装請負は法違反なので企業にとってもリスクが大きい」との見解を示しています。

 ゲート業務は、労働基準法第34条施行規則32条(国内線を乗務する場合、労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の「みなし休憩時間」を与えなければならない)にも明確に違反しています。 客乗連は、「日本航空に法と安全を守らせるよう、整理解雇撤回・契約制雇い止め裁判と合わせ、今後取り組みを強化していきます」と語っています。

要請する客乗連の中川事務局長と安全会議 酒井議長

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日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議への参加を心から訴えます


 日本航空は12月9日、パイロット94名と客室乗務員108名(合計202名)に対して、12月31日をもって解雇するとの通告を強行しました。私たち呼び掛け人は、日本航空のパイロットや客室乗務員の「整理解雇撤回」のたたかいは、日本航空に働くすべての労働者の生活と権利を守るたたかいであるとともに、利用者・国民の立場に立った日本航空の再建、安全・安心の航空行政をめざす国民的な課題であると考えます。私たちは、「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」の結成と、これへの賛同・参加を心から呼び掛けます。

 日本航空の整理解雇撤回の闘いは、次のような国民的な意義を持っています。 第一は、「整理解雇の4要件」に照らしても認められません。「整理解雇の4要件」は、不当な解雇を許さない≠ニいう多くの労働者のたたかいによって最高裁で確立した法理です。日本航空の1,500名の削減目標に対して1,688名が希望退職に応じていることや、10月までの営業利益が累計で1,327億円にも達していることを見ただけで、解雇の必要性は全くなく、「解雇権の濫用」そのものです。また、整理解雇の人選基準が、病歴や年齢の高い順の選別になっていることは、憲法27条の勤労権やILO条約・勧告に照らして、世界に例を見ない人権侵害と言えます。同時に日本航空の安全運航と職場要求実現の先頭に立っている組合役員の排除を狙う不当労働行為ともなっています。
 就職難や非正規雇用労働者の契約切りや雇止めなど、失業問題が大きな社会問題となっている中で、航空業界最大手である日本航空の不当解雇を許すなら、深刻化している雇用破壊にいっそう拍車をかけ、日本経済に重大な悪影響を及ぼすことになります。不当解雇を撤回させ、「整理解雇の4要件」を確固として守らせることは、日本の航空産業に働く労働者の雇用の安定はもちろん、全ての労働者の雇用にかかわる国民的な意義を持っています。 

 第二は、公共交通機関の再建のあり方として「利益優先か」「安全優先か」ということが問われています。日本航空は短期間に高収益を上げ、2012年には株式の上場も計画しています。そのための不採算路線からの撤退であり大量の人員削減です。すでに豊かな経験と高い技量を持った多くの労働者が職場を去っています。こうした中での整理解雇が職場のモチベーションに与える影響が心配されます。安全運航を支える基盤は労働者です。日本航空の再建にあたって、貫くべきは「安全性」と「公共性」の確保でなければなりません。「安全性」と「公共性」の確保こそ利用者・国民が日本航空に求めていることです。

 第三は、日本航空の経営破綻の根本的な原因が、米国の圧力の下での歪められた航空行政にあるということです。1990年の日米構造協議での対米約束によって、過大な需要予測に基づき次々と空港の建設や拡張が進められてきました。その財源としての高い着陸料や航空機燃油税などが経営を圧迫してきました。また、日本航空は日米の貿易不均衡を理由に米国から、大型機を大量に購入(B747を113機など)してきました。これらに加え経営を圧迫したのが規制緩和≠ナす。1996年以降、航空の規制緩和≠ェ一気に進み、自社整備能力を持たない新規航空会社が次々と設立され、高収益路線を狙って運航するようになりました。その結果、幹線の利益で地方路線を維持するという「内部補助」が不可能となり、不採算路線の維持が困難となりました。このように高い着陸料や航空機燃油税などによる高い運賃の負担と地方路線からの撤退は、国民の移動する権利と、そこに働く労働者を犠牲にしてきました。日本航空での整理解雇撤回の闘いは、市場原理主義の航空政策を改めさせ、日本航空を国民の足として再生するという国民の願いと不可分のものです。

 日本航空の整理解雇を許さず、整理解雇の4要件を守らせ、利用者国民の期待に沿った再建を実現させ、歪んだ航空政策を改めさせる運動に発展させるために、多くの諸団体の方々が、こぞって本国民支援共闘会議に参加されるよう心から訴えます。
2010年12月20日



【呼びかけ人 団体】(50音順)


自由法曹団                                                   団   長 菊池 紘


新日本婦人の会(新婦人)               会   長 高田 公子 


全国港湾労働組合連合会(全国港湾)                委員長 糸谷 欽一郎


全国商工団体連合会(全商連)                          会長     国分 稔 


全国労働組合総連合(全労連)                  議   長     大黒 作治


全国労働組合連絡協議会(全労協)             議  長   金澤 壽


東京地方労働組合評議会(東京地評)          議   長   伊藤 潤一


東京南部法律事務所                               代   表    坂井 興一 


日本婦人団体連合会(婦団連)                   会   長    堀江 ゆり 


日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)          議   長    東海林 智


農民運動全国連合会(農民連)                  会   長    白石 淳一 


航空労組連絡会(航空連)                         議   長     近村 一也 


日本航空乗員組合(日航乗組)                  委員長    宇賀地 竜哉


日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)                      内田 妙子




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安全会議だより(30)

JAL・ANAのコスト削減競争でグループ労働者は更に劣悪な労働条件に

劣化する職場と安全


 羽田空港第4滑走路と新国際線ターミナルの運用が開始され2カ月が経ちました。都心に近いことや国内線接続の利便性などから、国際線利用客は好調に推移しています。一方、空港整備の不具合や働き方がもたらす安全への影響も指摘されています。 新国際線ターミナルの本格運用が始まった直後の11月1日、航空機にコンテナを搭降載する大型特殊車両がA滑走路東側先端付近の場周道路を走行中に動けなくなり、2時間ほどの通行止めにより国際線の運航に影響が出ました。場周道路は、大型車両が通行するには道幅が狭いうえにアップダウンや傾斜などがあり、こうした道路の未整備が原因でした。開港前に何度か走行トライアルが行われましたが、多様な特殊車両の走行には検証が不十分だったようです。その後一部改善はされたものの、全面的な改修には至っていません。

 航空会社のコスト削減の下、地上支援業務を担うグランドハンドリング(GH)会社では企業再編や人員削減、労働条件引き下げが行われ、安全への影響が懸念されています。

 羽田空港で全日空の国際線のGH業務はANAGS(ANAグランドサービス)が行っています。2011年10月にはIAU(国際空港事業)と統合し、羽田空港における全日空系GH企業は1社となります。IAUでは従業員の約3割を非正規社員が占めます。12月15日には、時間外手当や深夜割増、休日割増率の法定水準への引き下げや諸手当の引き下げが労働組合に提案されました。ある労働者は「企業再編に加え労働条件の引き下げでは、従業員の心理も穏やかではない」と話します。IAUの上期の「ヒヤリハット・キガカリ」状況は22件報告されています。

 JALの更生計画に基づく人員削減により大量退職したJGS(JALグランドサービス)では、羽田空港の国際線業務を全面的に子会社に委託しました。今年4月には、その子会社も含めたグループ6社を統合した新会社を設立し、JGS労働者は全員新会社に出向させる計画を進めています。 JGS東京支社では、大量退職した昨年6月以降から事故・イレギュラーが増加傾向にあります。事故は月平均2・7件、イレギュラーは月平均4件発生しています。JGS東京労組は、「大量退職による人員減・資格者不足によるスキル低下が原因」と分析しています。

 羽田空港国際化やJALの業務縮小のなか、ビジネスチャンスとばかりにGH会社の設立や事業拡大が進められています。羽田空港ではHAG(羽田エアグランドハンドリング)が営業を開始しました。成田空港では、貨物上屋業務を行うIACT(国際空港上屋)がJGS退職者などを採用し新規GH会社を設立する一方、成田空港から一時撤退したSPJ(スイスポートジャパン)はJALとの契約が解除となったキャセイ航空のGH業務を受託しています。新千歳空港では、空港内での売店業務などを行う会社がGH業務に参入する計画です。多くの特殊車両を扱うGH業務にあっては、とりわけ新規GH会社にとって経験者の確保や教育体制の整備は直面する課題です。そのためのヘッドハンティングも公然、非公然に行われています。 JAL・ANAを中心としたコスト削減競争の下で、グループ労働者の雇用環境や労働条件の悪化が進んでいます。安全が声高に叫ばれている一方で、職場と安全の劣化への懸念か強まっています。

安全運航に欠かせないグランドハンドリング。羽田空港

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